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「これでは大変」と主人と相談して、一度、学校へ行き説明をしてもらいました。家に帰り祖父母に相談したところ、「まだ小さいので可哀想や」と許してもらえません。またまた、心配が深まり生きる勇気をなくしました。仕方なく、県庁に勤めている従兄弟に祖父母を説得してもらい、お陰さまで話が進み滋賀県立聾話学校に転校することができました。
一人で通学するのは無理なので山中塗装会社のお世話で家を建て、祖母が娘と一緒に暮らして祖母の付き添いで六年間、通学しました。
そして山口校長先生、山元先生、木村先生ら多くの先生のお陰で、高等部三年を無事に良い成績で卒業することができました。皆さまの温かいお力添えのお陰とお礼申し上げます。
昭和四十二年十月、娘は結婚し、運転免許をとって主人の長孝さんとともども、草津の会社に勤めて車で通っています。最近、長孝さんの目が悪くなり出したので心配です。私は長孝さんの世話をしていきたいと思っております。
今までに、県や市から表彰状を何度か頂きましたが昨年十一月、私のようなものに聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会にお招きがありました。そのとき、体が悪く欠席しましたが、立派な楯と「ハマナスのうた」の本を頂き感謝しています。
私は花好きで、また一番好きな花はハマナスです。今、この「ハマナスのうた」の本を読ませて頂いています。この娘がいたからこそ、人の苦しみも悩みも喜びも知ることができました。これからも一生懸命に勉強させて頂きます。
二人の孫がおり、男と女の子で二十六歳と二十四歳です。二人は元気で会社に勤めています。

 

 

 

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